心地よい季節になると、園庭や公園でさまざまな虫と出会う機会が増えるますね。
「わぁ、ダンゴムシだ!」
「虫さん見つけた!」
目をキラキラ輝かせている子どもたちの姿は、わたしたちを温かい気持ちにさせてくれます。
しかし一方で、子どもたちに昆虫との正しい接し方をどのように教えるべきか、迷う保育士
さんもいるかもしれません。
この記事では、子どもたちが昆虫との触れあいを通して、命の尊さや大切さを学ぶための
ヒントをご紹介します。
命の尊さを知る!虫と触れ合うねらいと効果

子どもたちが虫と触れあうことは、単なる遊び以上の価値があります。
主なねらいは以下の3点です。
- 好奇心・探求心を育む
- 問題を解決する力を身につける
- 命の尊さを知る
好奇心・探求心を育む
「どうしてアリは一列に歩くの?」
「この昆虫は何を食べるんだろう?」
このような素朴な疑問は、子どもたちの好奇心や探求院を刺激します。昆虫の動きや姿を
じっくりと観察することで、生き物への関心はより深まるでしょう。
問題を解決する力を身につける
「この虫の名前は何だろう?」
子どもが疑問を口にしたとき、それは自ら学ぶ大きなチャンスです。図鑑で一緒に調べて
みたり、他の先生に質問したりする過程で、自分で答えを見つけ出すという主体的な思考力
が養われます。
命の尊さを知る
小さな昆虫が一生懸命に生きる姿や、やがてその命が終わる瞬間を目の当たりにすることで、
子どもたちは「命は大切なものなんだ」ということを肌で感じ取ります。
これは、生き物と直接かかわりと持つからこそ得られる貴重な学びです。
これだけは押さえておきたい!保育士の役割とは

子どもたちが虫さんと楽しく触れ合えるように、保育士の皆さんに取り入れてほしい役割を
4点ご紹介します。
- お約束事を伝えよう
- 正しい接し方を教えよう
- 見守りながらサポートしよう
- 遊び終わりには必ず…
お約束事を伝えよう
「みんなは踏まれたり、引っ張られたりしたらどうかな?」
子どもたちにこのように問いかけることで、昆虫に乱暴なことをした場合、どうなるのかを
想像させます。
「痛い!」「嫌だ!」という返事から、
「虫さんもみんなと同じで、痛いんだよ。虫さんにも命があるんだよ」と伝えましょう。
子どもたちは共感を通して、相手の気持ちを理解する力を身につけます。
正しい接し方を教えよう
具体的かつ分かりやすい言葉で、昆虫への接し方を伝えましょう。
「自分がされて嫌なことは、虫さんにもしないようにね」
「そっと指で触ってあげてね」
1,2歳児さんには、よりシンプルで分かりやすい表現を心がけます。
「よしよしだよ」
「優しく指でツンツンしてあげてね」
また、毒を持つ虫や危険な虫もいるため、
「知らない虫さんは見るだけにしてね」という注意も忘れずに。
見守りながらサポートしよう
子どもたちが集中している時は、側でそっと見守りましょう。
「優しく」の力加減がまだ分からない子、うまく出来ない子もいます。
「もう少し優しく触ってあげてね」と、実際に触れあいながら力加減を教えてあげると
いいでしょう。
遊び終わりには必ず
遊び終わったら、虫を元の場所に戻してあげましょう。
「また遊ぼうね」
「ありがとう」
挨拶をすることで、相手を思いやる気持ちや命への感謝、別れを大切にする心が育まれます。
こういう時はどうするの?よくある質問と解決策

虫さんとの触れあいの中では、思いがけない出来事も起こります。落ち着いてに対応できる
よう、よくある質問3点とその解決策を知っておきましょう。
- 虫を怖がって触れません。どうすればいいですか?
- 虫を乱暴に扱ってしまいます。どう教えたらいいですか?
- 死んでしまいました。どう対応すればいいですか?
虫を怖がって触れません。どうすればいいですか?
無理に触らせる必要はありません。
まずは遠くから一緒に観察することから始めましょう。昆虫が登場する絵本を読んだり、
歌を唄ったりして、少しずつ昆虫に親しみを持たせてあげます。
虫を乱暴に扱ってしまいます。どう教えたらいいですか?
「なぜそうしてしまったのか」
まずは子どもに尋ねてみましょう。わざとでない場合は感情的に叱るのは避け、
なぜいけないのか、どうしたらいいのかを冷静に教えてあげて下さい。
また、子どもと一緒にどうすれば良いか考えてみてもいいでしょう。
虫が死んでしまいました。どう対応すればいいですか?
悲しい気持ちに寄り添い、一緒に命の終わりを受け止めましょう。
虫と触れ合っている最中での出来事であれば、
「虫さん動かなくなっちゃったね」と、冷静に何が起こったかを伝えます。「命の尊さ」
を肌で感じてもらうことが大切です。
「ごめんね」や「ありがとう」と、虫に語り掛ける姿を見せましょう。相手への思いやりを
学ぶきっかけになります。
虫との触れ合いを楽しむ!虫遊びアイディア

昆虫を触れあい、学びを深めるためのアイディアを4点ご紹介します。
- ダンゴムシ迷路
- 画用紙を使ったカタツムリの観察
- 幼虫(青虫)から飼育してみよう
- アリを飼育してみよう
ダンゴムシ迷路
ダンゴムシには、壁にぶつかると交互に方向を変えて進む
「交替性転向反応(こうたいせいてんこうはんのう)」という習性があります。これは、
エサや仲間を効率よく見つけるための行動だと考えられています。
段ボールや画用紙で迷路を作り、この面白い習性を観察してみましょう。

画用紙を使ったカタツムリの観察
カタツムリは移動をする際に、腹足から分泌される粘液で体を潤しながら進みます。
この粘液が、光る線のように跡として残る様子をが画用紙で観察できます。
藍色や深緑など、濃い色の画用紙を使うとより見やすくなります。子どもに見せる前に、
試してみて下さいね。

幼虫(青虫)から飼育してみよう
もし機会があれば、幼虫や卵から飼育してみるのもおススメです。
生命が成長していく過程を間近でみることで、命の尊さへの理解が深まります。また、
お世話を通して、責任感や思いやりを育むことにもつながるでしょう。

アリを飼育してみよう
働きアリの飼育は比較的簡単に始めることができ、巣を作る様子やえさを運ぶ姿はとても
興味深いです。土の中という普段見られない世界を観察することは、子どもにとって貴重な
学びの機会となります。
ただ、巣が形成されるための条件や飼育期間、飼育環境やエサなど、さまざまな情報を得て
おく必要があります。

まとめ

子どもたちにとって、昆虫との触れ合いは命の大切さや探求心を育む貴重な経験です。直接
触れたり、感じたりする体験を通して、子どもたちは命の尊さを学び、優しい心を育んで
いきます。
保育士の皆さんは、安全に配慮しながら、子どもたちの好奇心を温かく見守ってあげて
ください。
昆虫の力をお借りして、「命はかけがえのないものだ」というメッセージを、子どもたちに
伝えていきましょう。
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