あなたの園では、日々の保育の中で「お絵描き」をどのように取り入れていますか?
制作活動の合間や、雨の日の室内遊び。もしかしたら、「時間を繋ぐためのツール」になってしまっている…と、感じている保育士さんもいるかもしれません。
でも、お絵描きは子どもの内面があふれ出した、大切な「自己表現」の場。ただの時間つぶしで終わらせてしまうのは、本当にもったいないことなんです✨
とはいえ、現場ではこんな悩みも尽きませんよね。

いつも同じグルグル描き。なんて声かけたらいいの?

この年齢でこれしか描けないけど、発達は大丈夫?

白い紙ばかりで、子どもも飽きていている…
そこでこの記事では、保育の質をぐっと高める「お絵描きのねらい」と、子どもの姿を正しく捉えるための「発達段階」、そして明日からすぐに試せる「お絵描きのアイデア」をまとめました。
子どもたちが描く一枚の絵に、キラキラとした成長の証を見つけるために!一緒にワクワクしながら、その豊かな表現を見守るためのヒントを探していきましょう❗
【年齢別】お絵描きあそびのねらいとは🖍️

お絵描きには、年齢ごとに育ちのサインが隠されています。
目の前の子どもが今、何を感じ、どこまで発達しているのか。それを理解するための「ねらい」のポイントを、指導案にそのまま使える具体例として整理しました。
0,1歳児のねらい
0,1歳児は、具体的な形を描くことよりも「手や指を動かす感覚」「色がつく面白さ」を楽しむことが最大のねらいです。
【指導案へのねらい具体例💻】
- お絵描きをする楽しさを味わう
- 紙に色がつく感覚や、跡がつく面白さを楽しむ
- 道具(クレヨンなど)に興味をもち、握ってみようとする
- 肩や肘と使って大きく腕を動かし、のびのびと描く
2,3歳児のねらい
2,3歳児は、描く楽しさに加え、色の違いや形への興味が広がります。「想像力」や「自己表現力」の芽生えを大切にするねらいが必要です。
【指導案のねらい具体例💻】
- 腕や手首を動かし、線や円を描こうとする
- 好きな色を選んで、自分なりの表現を楽しむ
- 描いたものに名前をつけたり、何かに見立てたりすることを楽しむ
- 身近なものを、自分なりに描いてみようとする
4,5歳児のねらい
4,5歳児は、イメージを膨らませて描くだけでなく、それを言葉で説明できるように。そのため、「友だちとの共有」や「観察力」も大切なねらいになります。
【指導案へのねらい具体例💻】
- 自分の経験やイメージを、自分なりに工夫して表現する
- 対象をよく観察し、形や色の細部を意識して描こうとする
- 描いたものを友だちや保育士に伝え、表現する喜びを共有する
- 友だちと共通のテーマを楽しみ、一緒に絵を描き上げる
- 納得がいくまで取り組み、一つの作成を完成させる達成感を味わう
【発達段階】子どもの絵はどう変わる?成長ステップを知ろう🎨

目の前の子どもの描く「一本の線」。
その意味を理解するためには、お絵描きの発達過程を知ることが近道です。
ここでは、書籍『「お絵かき」の想像力』を参考に、その不思議で愛らしい発達のステップを紐解いていきましょう。
※大切なお願い
子どもの絵の発達過程にも、大きな個人差があります。
ここで紹介する年齢や順番は、あくまで一つの「目安」です。3歳児で図式的な絵を描く子もいれば、じっくりとなぐりがきを楽しむ子もいます。
早い遅いではなく、その子が今「どの地点にいて、何を楽しんでいるのか」を見つけるヒントとして活用してくださいね。
なぐりがき期(8カ月頃~2歳半頃)
「なぐりがき期」とは、点から始まり、やがて円が描けるようになるまでの期間を指します。
「点」:すべてはここから始まる
クレヨンをなめたり、箱から入れたり出したり…。
そんな探索行動の中から、ある日偶然、手が上下に動いて紙に打ちつけられた「点」。これが、子どもにとって「人生初めての絵」の誕生です。
「横線」:腕の反復運動

点を起点に腕を動かすようになると、短い単線が生まれます。
腕を動かすことに慣れてくると線は長くなり、やがて左右にダイナミックな往復線へと発展していきます。
「渦巻き線」:運動機能の広がり
肩、肘、そして手首へと運動機能が発達してくると、丸みを帯びた線が。ぐるぐると重なり合う「渦巻き線」は、体を上手にコントロールでき始める証拠です。
「不完全な円」から「意味づけ」へ

重なっていた渦巻き線が整理され、三重→二重→一重の円へと近づいていきます。
この頃になると、描いた絵に「これ、パパ」と名前をつける「意味づけ」が始まるように。
頭足人期(3歳~4歳頃)
顔から直接、手足が生えているように見える「頭足人」。この不思議な表現にも、実は順序がありました。
「頭足人」の芽生え

なぐりがきで描けるようになった「円」の中に、目・鼻・口を描き入れようとします。まずは、「顔」の認識から始まるのです。
「頭足人」の完成

胴がなく、頭部から手足が出ている状態です。
大人には不思議に見えますが、子どもにとっては「人間という象徴」を精いっぱい形に!手足の数や向きが違っていても、それがこの時期の「子どもらしさ」の真髄ではないでしょうか。
「胴」の出現

やがて頭部と区別された「胴体」が出現。
足も腕も胴体から描かれるようになると、いよいよ頭足人を卒業し、次のステップへ進みます。
図式期(5歳頃~8歳頃)
「何を描いたのか」が誰の目にも明らかになる、子どもの絵の完成期です。
円・三角・四角や直線など、さまざまな形の「絵記号」を組み合わせ、自信に満ちた表現を見せてくれます。

記号の組み合わせ
三角と四角を重ねた「家」、円に短い線を足した「太陽」など、自分なりのルール(図式)が確立されます。
自分が見た世界を再現
経験したことやイメージした世界を、記号を集めて構成していきます。
ここからさらに、地面を表す「基底線」が現れたり、物の重なりや奥行きを意識したりと、表現はよりリアルでダイナミックなものへと進化を遂げていきます。
子どもの「表現」をもっと深く知るために!おすすめの1冊を紹介📚

今回の【発達段階】を紐解くにあたり、わたしが何度も読み返し、大きな刺激を受けた書籍をご紹介します。
著者の皆本二三江さんは、長年美術教育の研究者として、世界中さまざまな世代の「絵」と向き合ってこられた方です。
この本には、なぐりがきや頭足人が生まれる背景から、男女による絵の違い、色彩感覚まで、膨大な実例と研究データに基づいて興味深い考察が詰まっています。
特にお伝えしたいのが、わたしの固定概念をガラリと変えた2つのエピソードです。
「頭足人」は、かつて人類が四つ足歩行をしていた頃の記憶?
本の中に、以下の一節がありました。
「頭足人はかつて四つ足歩行をしていた時代の正面像ではないでしょうか?」
最初に読んだときは、「いやいや、身体の発達によるものでしょ」と思わず突っ込んでしまったんです😊
でも、読み進めるうちに「もしかしたら、本当にそうかもしれない…」と、子どもの描く絵に壮大なロマンを感じるようになりました。
子どもは「絶対色感」を持っている?
「絶対音感」ならぬ「絶対色感」
幼児は驚くほど優れた色彩感覚を持っているという考察です。
「なぜ子どもは、あんなに自由で美しい色使いができるのか?」その理由に触れたとき、日々の保育でも見守り方が変わるような衝撃を受けました。
なぜ、著者はこのような考察に至ったのか。その答えはぜひ、実際に本をめくって確かめてみてくださいね。
子どもの絵が「ただの絵」ではなく、人類の歴史や豊かな感性が詰まった「宝物」に見えてくるはずですよ。
【実践編】ワクワクが広がる!お絵描き遊びのアイデア3選👌

「いつも白い紙のお絵描きで、マンネリ化している…」
そんなときにおすすめの、少しの工夫で子どもの創造力を爆発させる、とっておきのアイデアをご紹介します!


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