「言いにくい…」不適切保育を目撃した際の対処法と、事実を証拠として記録する方法

「言いにくい…」不適切保育を目撃した際の対処法と、事実を証拠として記録する方法



同僚や先輩が子どもに対して、不適切な保育を行っているのを目撃したとき...。


あなたはどうしていますか?
「どうすればいいのか」と、頭が真っ白になりませんか?


「見て見ぬふりはできない」
「子どもの安全を守りたい」という正義感と同時に、


「自分なんかが報告して大丈夫なのかな?」
「もしバレたらどうなるの?」という不安と恐怖が押し寄せてくるはずです。


勇気を出して園長や主任に報告しても、「大したことない」と取り合ってもらえなかった
場合、孤立感は一層深まるでしょう。


しかしだからといって、そのままにしてはいけませんよね。


この記事では、あなたが自分の身を守りながら、子どもの安全のために確実に行動を起こす具体的なステップを解説します。


いざという時のために覚えておいてもらえると嬉しいです。あなたの勇気が、子どもたちの未来を守ることにつながります。


最初のステップ:感情ではなく「事実」を記録する

最初のステップ:感情ではなく「事実」を記録する



不適切な保育を目撃したとき、多くの人がまず考えるのは「録音・録画」かもしてません。

しかし、防犯カメラは園長や主任に許可を取らないと確認できないし、個人での録音や録画には、子どもたちのプライバシー侵害のリスクなど、さまざまな懸念が伴います。

そこで、最も安全で、後に証拠として高い信頼性を持つのが、「手書きメモ」による客観的な事実の記録です。



なぜ手書きメモが最強の「証拠」になるのか



「誰が見ても揺るがない客観的な事実」

これが、行政の調査や、万が一の法的な問題になった際に最も重要視されます。そして手書きメモは、以下の理由から非常に有効な証拠となります。

その①:即時性と具体的な再現性

目撃直後に、記憶が鮮明なうちに書き残すことで、その場の状況を忠実に再現できます。

その②:改ざんの難しさ

デジタルデータと違い、メモに正確な日時とあなたの署名があれば、のちの改ざんが難しく、証拠として信憑性が高まります。

その③:リスクの低さ

スマートフォンでの録音・録画に比べて、メモ帳への記録は周囲に気づかれにくく、あなたの身元が露見するリスクを最小限に抑えられます。


証拠として有効な「メモ」の書き方とは



単なる日記ではなく、「証拠」として通用させるためには、感情を排除して、客観的な事実だけを徹底的に記録することが重要です。5W1Hを意識してメモを作成してみて下さい。

【5W1Hとは】

記録項目記録すべき具体的な内容NGな記述例
いつ正確な日時(〇月〇日〇時〇分)「おやつの時間くらい」
どこで正確な場所(2歳児クラスの窓際)「保育室」
だれが行為者(保育士)と被害児(子どもの名前、または特徴)「先輩」「〇〇組の子」
なにを具体的な行為や言動(そのままの言葉を記録)推測・感情的な表現      
「イライラして怒鳴っていた」
どのように行為の詳細や状況
(例:腕を引っ張った時間、大声のトーン)
「ひどかった」
あなたの署名記録した日付とともに必ず記載する


行為者の具体的な言動とともに、それが続いた時間を記録すると、証拠価値が格段に高まります。このメモこそが、あなたの勇気ある報告の土台となるのです。


園内報告の鉄則と報告を【無視された】場合の壁

園内報告の鉄則と報告を【無視された】場合の壁



不適切な保育は、まずは施設内で解決することが理想です。そのため、最初の報告先は原則
として、園長や主任保育士など、組織の責任者になります。


園内報告の鉄則



園長や主任に報告する際は、「感情」ではなく、記録した手書きメモの「事実」に基づき、
冷静かつ具体的に伝えて下さい。感情論ではなく、客観的な記録を提示することで、あなたの
訴えの信憑性が高まります。

しかし、この内部ルートが機能しないことが、実は多くの現場で発生しています。


報告しても取り合ってもらえなかった



勇気を振り絞って報告したのに、園長や主任からこんな対応を受けたことはありませんか?
そのような状況では、その園内で問題を解決するのはとても難しいと感じざるを得ません。

  • 「そんなことより、人手が足りない方が問題だ」と、話を逸らされた
  • 「大したことない」「気にしすぎ」と、軽視された。
  • 「このことは誰にも言うな」と、問題を隠すように求められた。
  • 行為者自身が責任者(園長など)であった。


このような状況では、問題が組織的に隠蔽されている可能性が考えられます。

問題が放置され続けば、被害を受ける子どもが増えるだけでなく、あなた自身が孤立したり、不当な扱いを受けたりするリスクが心配されます。


内部ルートが機能しないと判断したら即座に切り替える



内部での解決努力は重要ですが、「取り合ってもらえなかった」と感じた時点で、あなたはすぐに
次の行動に移るべきです。

あなたの貴重な時間とエネルギーを、無駄に消耗させる必要はありません。子どもたちの安全
が最優先です。

次で解説する「外部への匿名報告」に切り替える決断をしてください。それは、ご自身の身を
守りながら、問題を解決する最も確実な道になります。


自分の身を守る!【匿名で告発】する外部の相談先

自分の身を守る!【匿名で告発】する外部の相談先



内部ルートが機能しない場合、次の行動は外部の公的機関への報告です。

この行動は、単なる「告発」ではなく、子どもの命と福祉を守るためのプロとしての責務で
あり、法によって守られた「公益通報」にあたります。

自分の身元が特定されて職場から不利益を受けるリスクを抑えるため、以下の相談先を活用し、【匿名】で相談することを強くおすすめします。


あなたの味方となる「公的機関の窓口」



以下の機関は、保育施設や幼稚園に対して指導や監督を行う権限を持っています。提供された情報をもとに、中立的な立場で調査や立ち入り検査を実施することが可能です。

【相談窓口】

〇市区町村役場の管轄部署(保育課や子ども課など)

日常的に指導監督を行う最も重要な行政窓口です。まずはここに相談を検討してください。

〇児童相談所

虐待の疑いや、子どもの心身に危険が迫っているなど緊急性が高い場合に、すぐに介入する権限を持ちます。虐待対応ダイヤル「189(いちはやく)」は24時間対応です。

〇都道府県の窓口

市町村の対応に不安がある場合や、より上位の機関に相談したい場合に有効です。自治体によっては不適切な保育に関する専用窓口を設けていることがあります。


認可外保育施設や企業主導型保育施設でも、まずは市町村に相談して大丈夫です。担当部署に
引き継いでもらえたり、協会への連携を含めて対応してもらえたりします。


報告後のリスクと自分の身を守るための選択肢



勇気を出して報告した結果、多くのリスクが残念ながらあるのは事実です。あなたの心の健康
と安全を守るための行動も視野に入れておきましょう。

①「逃げる」ことは負けではない

不正な環境から自分自身を隔離し、身を守るための最も賢明な正当な防衛行動です。

②退職代行などのサービスの選択肢も持っておくこと

もし、いじめやハラスメントで精神的に追い詰められた場合は、関係者と顔を合わせること
なく、速やかに退職する選択肢も持っておきましょう。

③外部の相談窓口に相談しても大丈夫

「いじめが心配で、最悪の場合退職も考えている」と、外部の相談窓口に報告する際、正直に
伝えてください。

行政側は、あなたの安全を確保した上で、より迅速により慎重に調査を進める必要性を認識
するようになります。

子どもの安全を守る行動と、自分の身を守る行動は、どちらも同等に大切です。決して罪悪感
を抱かず、自分を守るための行動を優先してください。


不適切な【保護者対応】を目撃した場合の対処法

不適切な【保護者対応】を目撃した場合の対処法



不適切な保育が「子どもへの関わり」だけに限らず、不適切な「保護者対応」もまた、施設全体の信頼や子どもの成長に関わる重要な課題です。


不適切な保護者対応とは?



不適切な保護者対応とは、保護者の人格や人権を尊重しない行為や、子どもに悪影響を及ぼす
可能性のある対応を指します。

例えば、以下のような行為が該当します。

  • 保護者に、感情的・威圧的な言動で一方的に指導する
  • 保護者の個人的な事情や家庭環境を、不必要に言いふらす(守秘義務違反)
  • 保護者の正当な意見や要望を一切聞かずに拒絶する、あるいは無視する
  • 保護者の不安に対し、事実と異なる説明をしたり、事実を隠蔽したりする



目撃した際の対応ステップ



不適切な保護者対応を目撃した場合も、まずは子どもの安全と保護者の感情の安定が最優先です。

①その場でフォローに入る

まずは、威圧的な状況を緩和するために、目撃した先生のフォローに回ってください。難しい場合は、対応可能な先生にすぐに報告し、対応をお願いしましょう。

「わたしが代わります」
「少し時間をいただき、確認後に改めてご連絡します」など、場を一旦収めることを最優先
します。

②事実の記録と責任者への報告

不適切な保育と同様、「事実」を記録します。

その上で、冷静に園長や主任に報告し、チームとして対応策を検討するように求めましょう。
保護者対応は個人ではなく、園全体の問題として解決すべきです。

③改善が見られない場合は外部に相談

不適切な保護者対応が続き、保護者や子どもが明らかに精神的な被害を受けている。または
個人情報漏洩などの重大なリスクがあるにもかかわらず、園が対応しない。

そういった場合は、外部機関に相談することを検討してください。


不適切な保護者対応は、保護者からの信頼を失い、最終的に子どもの安心感を損なうことに
つながります。チーム全体で情報を共有し、対応の質を改善していく姿勢が重要です。


まとめ|あなたの勇気が子どもたちの未来を救う

まとめ|あなたの勇気が子どもたちの未来を救う



不適切な保育を目撃したとき、多くの葛藤があるはずです。


しかし、「このままではいけない」と立ち上がろうとするその姿勢こそ、プロの保育士として
の責任感の表れです。

報告を無視されたという事実は、とても心が折れるものですが、それはあなたが無力という
わけではなく、むしろ園の組織自体がうまく機能していない証拠だと言えるでしょう。

  1. 感情を排し、5W1Hで客観的に事実を記録すること
  2. 外部の公的機関を頼ること



もし告発後に、不利益な扱いを受けることがあれば、迷わずその環境から「逃げる」ことを
選択してください。あたなの心身の健康と安全を最優先することは、子どもたちの安全を守る
行動を同じくらい、正当な判断です。


あなたが残した記録と、外部報告は、必ず行政を動かし、その園の環境を改善させます。

「見て見ぬふり」をせずに行動したあなたの勇気こそが、今、不適切な保育で苦しんでいる
子どもたちを救い、その職場の未来を変える唯一の希望です。

この情報が、あなたの行動の一歩を力強く支えることを願っています。









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