保育園・幼稚園には、既製品から手作りのものまで、子どもの発達や興味に寄り添った玩具がたくさん用意されています。
しかし、日々の保育の中でふと…、

玩具の本来の役割って何だろう?

おもちゃ遊びは、子どもにどんな影響を与えているんだろう?
そう感じたことはありませんか❓
先日、『「遊びの原理」でなぞを解くおもちゃで作る保育環境 出版記念セミナー』に参加をし、汐田稔幸先生・藤田篤先生によるスペシャル対談を聴講しました。

この記事では、その対談で学んだ、積み木遊びを通した「おもちゃ遊びが子どもに与える影響」と「保育士の役割」。
そして対談を聞いて考えた「子どもへの関わり方」についてお話していきます。
英語や体操など、「習い事」が重視されがちな令和の時代だからこそ、改めておもちゃ遊びの重要性を再確認し、明日からの保育に活かしていただければ幸いです。
おもちゃ遊びが子どもに与える🧩「真の影響」とは

私たちが毎日目にしている、子どもたちの「おもちゃ遊び」。
日々の成長を支える欠かせない「学びの場」であることは、現場で向き合う私たち保育士が一番よく知っているはずです。
では、具体的にどんな影響を与えているのでしょうか?ここでは、セミナーでの学びを深堀し、発達の視点から紐解いていきます。
0,1歳児の遊びに見られる「逆動作の原理」
「逆動作の原理」とは、
これは、遊びはじめの時期(0,1歳児頃)に、本来の遊びの動作とは真逆の動きをすることで、その物の性質を学んでいるという考え方です。
例えば、積み木は本来、「崩れないように積み上げていく」玩具ですが、0,1歳児は、保育士や友だちが積んだ積み木をすぐに崩してしまいますよね❗
実は、この「崩す」「崩れる様子を見る」という真逆の行動こそが、子どもが積み木の性質を感じ取るための必要なステップなのです。
その後、成長とともに少しずつ積めるようになり ーー
- 2歳児・3歳児頃には:自分なりのこだわりの遊び方が生まれる。
- 4歳児・5歳児頃には:友だちとイメージを共有し、協力して作る。
このように、成長に合わせて遊び方が変化していきます。
無秩序から秩序を作り出す力が育つ
ここでいう「秩序」とは、
遊びを成り立たせるための「みんなの約束事」や「自分だけのマイルール」のことを指します。
子どもたちは、積み木を「掴む・なめる・崩す」といった感覚的な遊びから、少しずつ自分なりのマイルールを作り出していきます。
例えば ーー
- 積み木を上へ上へと積み上げる
- 横一列にきれいに並べる
- 四角い形になるよう組み合わせる
こうした遊びの中で、
「こうやったらどうなるかな?」「これと合わせたらもっと楽しいかも!」という気づきが生まれ、遊びがどんどん展開していきます。
4,5歳児になると、その子の遊びに友だちが加わり、「ここ、○○していい?」「こうすると、もっとよくなるかも」と、協力しながら遊びを広げていく場面も❗
一度作った「マイルール」を、気づきによって壊し、さらに納得のいく新しいルールへと作り替えていきます。
この繰り返しこそが、「秩序」を身につけていく大切なプロセスなのです。
おもちゃ遊びが「学ぶ意欲」の土台を作る
セミナーの中では、こんな話もありました。
小学校の先生から「遊んでいるだけでいいのか?」と問われた保育士、答えに詰まってしまったというエピソードです。
「小学校で授業を受ければ、学びになる」と思われがちですが、汐田先生は「そうではない」と断言します。
授業を座って聞くってつまらないよね。
自分で「確かめたい」じゃん! 自分たちで「対話したい」じゃん! 「知りたい」から覚えていくんだよね。
玩具で遊ぶことで ーー
- 意欲・感受性・表現(非認知)を引き出し、それが学習(認知)につながる
- 遊びの中で自然と「協調性(教え合う力)」も育まれ、勤勉につながる
創造性は偶然で育つのではなく、環境が大きく影響します❗
だからこそ、保育現場における「おもちゃ遊び」は、子どもの一生を支える「学ぶ意欲」を育てるために、きわめて重要な役割を担っているのです。

子どもの遊びが広がる瞬間🧩家庭で生まれた「回転寿司」の世界

今回のセミナーでは、家庭での保育実践の写真も共有されましたが、その光景は「遊びの原理」を見事に体現する、とても魅力的なものでした。

この見事な「回転寿司」の遊びは、
3歳児の次男くんがウールレンガ積み木でキレイに並べ始めたことからスタートしました。
そこへ、LaQで複雑な形を作れるようになった5歳の長男くんが加わり、「これ、回転寿司になるんじゃない?」と提案。
さらには、7歳の長女さんも加わって、遊びの世界がどんどん発展していったそうです。
長女さんがは世界を広げ、長男はLaQで寿司職人になり、次男はお客さんになる。この遊びはこの時限りで終わることなく、なんと1週間ほど続いたといいます✨
回転寿司の店内のイメージが驚くほど忠実で、お寿司一貫一貫の再現度の高さには目を見張るものがあります。

子どもたちの「やりたい」という意欲、そして豊かな感受性と表現力が組み合わさったとき、
大人には到底真似できないような素晴らしいクリエイティブが生まれるのだと、改めて感動させられる事例でした。
保育士の役割とは❓子どもの「研究者」として

おもちゃの重要性が分かったところで、次に考えたいのが「私たち保育者の役割」です。セミナーでは、環境構成や子どもへの眼差しについて、ハッとさせられるお話しがありました。
「消費」ではなく「投資」としてのおもちゃ選び
セミナーの中で、すごく心に残った問いかけがありました。それが、
「良いおもちゃを購入することを、消費と考えるか、それとも投資と考えるか」
例えば、高価な積み木でも、30年使い続けることができれば、1年あたりのコストはどのくらいになるでしょうか?
そう考えると、決して高い買い物ではないはずです。
ある公立保育園では、色画用紙を買うことをやめた とのこと!
きっかけは、壁面製作にかけていた費用は想像以上に大きかったことへの気づき でした。
保育士の作る壁面は、その場を彩りはしますが、子どもの育ちに直接「循環」していくものではないはず☝️
一方で玩具は、子どもたちの経験や能力へと「循環」していきます。
たかが「おもちゃ」、されど「おもちゃ」
限られた予算や時間を、子どもにとって本当に必要なものへ使っていく。その ❝判断❞ と ❝環境への投資❞ も、保育士の大切な役割ではないでしょうか。
子どもが「遊んでいる姿」を追いかける
保育士のもう一つの役割は、
おもちゃを与えて終わりにするのではなく、子どもが遊んでいる姿を丁寧に追いかけ、環境を整い続けることにあります。
「この玩具は、子どもの能力を引き出せるものか」
「この数で、十分に遊び込めるか」
そうした視点で環境を見極めることが、子どもたちの可能性をさらに豊かに広げることにつながります。
例えば、積み木遊びひとつでも、以下のような比較の捉え方があってもいい。
「去年の子どもたちは、この積み木でこんな遊び方をしていたな」
「今年の子どもたちは、また違うアプローチをしているな」
「この子とあの子では、できることがこんなに違うんだな」
大切なのは、子ども一人ひとりの姿を丁寧に観察し、その可能性を引き出せる環境を整えることではないでしょうか。
保育における子どもたちの本当の姿を知っているのは、現場の私たち保育士。 私たち自身が『子どもの研究者』なんだと、子どもの姿を楽しんで観ることが大切です☝️
そうすることで、一人ひとりの可能性に気づき、最適な環境をギフトとして手渡せるようになるのだと思います。
子どもから「育ち直し」をさせてもらうプロセス
子どもの姿から学び、保育士自身も「育ち直し」をさせてもらっている。そんなふうに子どもとのプロセスを、ぜひ楽しんでみてください。
自然と、「この子たちを助けてあげたい」「子どもたちの未来を信じよう」という気持ちが、湧き上がってくるはずです☝️
子どもの可能性を信じ、遊びを豊かにするための環境を整える。それこそが、令和時代に求められる保育士の姿なのではないでしょうか。
子どもへの「関わり方」🪅現場で大切にしたい3つの視点

ここからは、セミナーでの学びから、わたし自身が考える「保育士の子どもへの関わり方」についてお話しします。
私が考える保育観のため、賛否あるかもしれませんが、少しでもヒントになることがあれば幸いです。
子どもの「やりたい」を存分に引き出す関わり
大切にした視点の1つ目は、
遊びの中で、子どもたちの「壊したい」「作りたい」「やってみたい」という意欲を存分に引き出し、支えてあげることです。
例えば、
0歳児・1歳児なら:「壊す」遊びを心ゆくまで楽しめるよう、積み木をどんどん積み木を積んであげる
2歳児・3歳児なら:「こだわり」を追求できるよう、おもちゃの追加したり、邪魔されない空間を確保したり
4歳児・5歳児なら:困ったときにすぐ助けられるように、近くで見守る
子ども一人ひとりを観察し、その「興味の種」に合わせたお手伝いをしてあげてください。
もし観察の結果、自分の予想が外れてしまっても大丈夫👌
そこから再び「こうではないか」と試行錯誤していく、PDCAサイクルのプロセスことが、子どもにとって最適な環境作りにつながっていくでしょう。
先生の子どもたちを想う気持ちは、必ず伝わっています。積極的に提案を投げかけながら、子どもたちからどんどん学ばせてもらってくださいね。
子ども一人ひとりの「秩序」を育む関わり
「子どものやりたいを存分に」とはいっても、保育園・幼稚園は集団生活の場です。
友だちの遊びを壊したり、怪我させたりといった、周囲の迷惑になる行動については、保育士が「秩序(ルール)」を教えてあげる必要があると思います。
例えば、
友だちの積み木を「壊してしまう」とき:「ここに乗せてくれる?」と積み木を渡し、遊びの輪に誘ってみる
ひっくり返すなど「邪魔してしまう」とき:その子の興味が向く別の遊びを提案してみる
「危ない」行動をしてしまうとき:すぐに制止をし、保育士と一緒に遊びながら、楽しさを伝えてみる
ただ叱るのではなく、その場の「秩序」を知らせながら、「新しい遊び方(秩序)」を一緒に見つけてあげること👌
そんな関わりが、子どもの育ちを支えるのでないでしょうか。
子どもたちの「秩序」づくりを支える関わり
2歳児以降になると、友だちと同じおもちゃで一緒に遊ぶようになり、一緒に一つの世界を作り上げることも、できるようにもなりますよね。
ただそうはいっても、個性がぶつかり合い、トラブルになったり、遊びが止まってしまったりすることも珍しくありません。
「問題解決能力を育てるために、介入しすぎない方がいい」という考え方もありますが、私はある程度の「線引き」は必要だと思っています。
- 子どもたちだけでは解決が難しいとき
- 怪我につながりそうなとき
このような場合は、保育士が間に入り、解決の糸口を一緒に見つけてあげてほしいと思っています。
「介入していいのかな?」と迷ったときは、思い切って仲立ちしてみてください。間に合わなかったよりは、ずっとマシです。
また、子どもたちの頑張り、出来たことを、共感し、称賛してあげてください👌
嬉しい気持ちが自己肯定感を育み、子どもの能力がさらに豊かに伸ばしていくでしょう。
まとめ|保育に「正解」はない!今日の姿から明日の学びへ🌈

今回のセミナーを通じて改めて感じたのは、
おもちゃ遊びは単なる「余暇」ではなく、子どもたちの内側にある「知りたい」「やってみたい」という学びの意欲を育む、かけがえのない時間であるということ✨
ゲストの先生方はこんなことも言っていました。
「良い保育」も「悪い保育」も存在しない。まずは、その考え方自体を失くしてみてほしい。
大切な関わりとは、一度きりの正解をだすことではなく、継続して学び続けること☝️
今日の保育で見せてくれた子どもの姿から、明日の保育を学び、また次へとつなげていく。
たとえ、今日の関わりが予想と違っていたとしても、そこには必ず「次はこうしてみよう」という新しい発見があるはずです。
その思考錯誤のプロセスことが、「保育士のやりがい」なのだと感じています。
令和の時代、さまざまな教育活動が注目されていますが、子どもの根っこを育てるのは、やはり「おもちゃ遊び」です❗
保育士自身も「子どもの研究者」であることを楽しみながら、今日から明日へ、豊かな時間を積み重ねていけることを願っています。




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