プール遊びや水遊びの時期に入りましたね!
今年は酷暑が早まり、
すでに水遊びを開始している園も
見かけるようになりました。
プールや水遊びは子どもたちが大好きで、
楽しそうな笑顔を見ると
わたしたち保育士も嬉しくなりますよね。
その一方で、忘れてはいけないのが、
水の事故です!!!
集中しているから大丈夫だろう...
少しだけなら...
そんな一瞬の気の緩みが、
取り返しのつかない事故に繋がることもあります。
今回は、過去に実際に起こってしまった
プール事故の事例から
監視の在り方、安全対策について深く考えて
いきましょう。
プール事故の事例とそこから見える教訓
ここでは、実際に発生したプール事故の事例と、
そこから読み取れる教訓をまとめます。
具体的な施設名や日付は提示しません。
事例1:保育園での4歳女児死亡事故(2017年)
〈事故概要〉
プール遊び中、
4歳女児がうつ伏せで浮いている状態で発見され、
その後死亡が確認されました。
担任保育士は、
プールで使用した滑り台を片づける為、
園児から30秒程度、目を離していたと
されています。
〈この事例から学ぶ教訓〉
〇たった一瞬が命取りに
たった数秒でも
目を離した隙に事故は起こります。
死角になりやすい場所や
遊具の片付けなど、「ながら作業」をしないと
いけない状況を作らないことが重要です。
〇監視体制の徹底
監視役は監視に専念することの重要性を
再確認しましょう。
片付けなどの業務との兼務は極力避けましょう。
どうしてもプールから出さないと
いけない場合はどうしたらいいの...?
のちほど説明します。
事例2:幼稚園での3歳男児死亡事故(2011年)
〈事故概要〉
室内プールで水遊びをしていた3歳男児が
うつ伏せで浮いているのが発見され、
搬送先の病院で死亡が確認されました。
終了間際にプール内の遊具の片付け作業中、
約30秒程の短い時間、
園児から目を離したとされています。
事故発生当時は、幼稚園教諭1名で
監視、水深は20㎝程と説明されています。
〈この事例から学ぶ教訓〉
〇「終了間際の油断」と「片付けの落とし穴」
プール活動の終了間際こそ、
最も意識が散漫になりやすいと認識しましょう。
体拭きタオルの準備やシャワーへの移行など、
次への意識が、一時的に子どもへの意識を
逸らすことを再確認しましょう。
〇一人監視の限界
1人で複数の園児を完全に監視しながら、
他の業務もこなすことの難しさを
認識してください。
担任の役割とは何なのか、
次への動線に移行する為には、
どうすれば安全なのか、必要な配置人数とは...
きちんと責任をもって、確認する必要があります。
事例3:幼稚園での4歳男児死亡事故(2014年)
〈事故概要〉
屋上プールで水遊び中に、
4歳男児が水に沈んでいるのが発見され、
心肺停止状態で救急搬送されました。
この事故では、監視役の保育士2人が
一時的にプールを離れるなど、複数の職員による
「持ち場離脱」や「ずさんな監視状況」が
指摘されています。
〈この事例から学ぶ教訓〉
〇監視者の「持ち場離脱」は命の空白
いかなる理由であっても、監視者が
子どもがいるプールからいなくなるのは、
最もあってはならない行為です。
絶対にしてはいけません!!!
〇複数人による多重チェックと役割の明確化
1人の監視では
見落としが発生する可能性があります。
複数人での監視体制を組み、互いに連携を取り、
それぞれの役割を明確化することで
死角をなくす工夫が求められます。
プール事故を防ぐための3つの視点
これらの痛ましい事例から、わたしたちは以下の
3つの視点を常に意識することが重要です。
1、「絶対よそ見しない」という意識
「一瞬でも目を離してしまったどうなるか」という
最悪のケースを常に想定し、見落としのない
監視体制を構築することが重要です。
〈見落としのない監視体制とは〉
わたしの勤めていた園を例に挙げました。
参考までにご覧ください。
〇大型プールの場合
監視人数は、
プールの中…担任(配置人数)
プールの外…看護師、保育士、主任or園長
計3人
プールの出入りの際は、
担任…子どもが確実に出られるように誘導と監視
その他…階段の補助、シャワーの補助、
子どもの動きに応じた、誘導と監視の交代
こういう場合は、
プールから遊具を出す場合は、
プール外の保育士に渡していました。
(ほぼノールックパスです!)
持ってきてほしいもの、忘れごとは、
プール外の先生に声をかけ、
代行してもらいました。
〇乳児プールの場合
配置人数+監視役がつきます。
(園長or主任も来てくれます)
プール中の配置も徹底して決めました。
誰がプールに入って、
誰がプール外につくのか、どこにつくのか
子どもの着替えの時間になると、
手が空いている補助保育士が助けに来てくれます。
なので担任の役割は、
確実に室内に入るための誘導と監視のみです。
〇ビニールプールや遊具などの片づけ
大型プールの場合は、
プール中のおもちゃは子どもと一緒に片づけます。
倉庫などへの移動は、
補助保育士にお願いするか、午睡中に行います。
乳児の場合は、
子どもが数人ずつ順番に室内に入るので、
監視しやすくする為にも、
徐々にタライや遊具の数を減らしていきます。
でもそれをする場合は、保育士が2人以上いる
場合のみです。(補助保育士は含みません)
補助保育士の手が空いてきたら、
タライや遊具の片づけを代わってもらいます。
2、「水深1㎝でも溺れる」という認識
いくら水深が浅くても、
子どもの体格や突発的な状況によっては
簡単に溺れると理解してください。
水深に関わらず、常に危機意識をもち、警戒を
怠らないことが非常に重要です。
ちなみになんですが、
非常に印象的だった言葉があるのでご紹介します。
〈印象に残った言葉とは〉
参加した講習会の講師が言った言葉です。
それが...
「水を子どもの首元の深さまで入れなさい!」
なぜこういったのか分かりますか?
ここまでしないと、危機意識が持てないからです。
「ここまでしないと、ちゃんと見ないじゃん」
「大丈夫って思うんでしょ!」
非常に厳しいお言葉もいただきました。
確かにそうなんです。
水深が浅ければ、浅いほど、
気持ちに余裕が生まれすぎてしまい、
危機管理が薄れてしまうんです。
それ以来、浅すぎるのを止めました。
(子どもが座った胸元あたりまでです。)
そうしたら、今まで以上に
子どもを注意してみるようになりました。
自分の監視能力も見直すようになりました。
(楽しませてもあげたいから!)
「水深の浅すぎ」にも注意してみて下さい。
ポイントは、
先生が絶対に目を離せなくなる深さです。
3、「ヒヤリハット」の共有と改善
些細な「ヒヤリハット」であっても、
それが重大事故につながる可能性があります。
職員間で積極的に共有して下さい。
具体的な改善策を検討し、実施することで、
事故を未然に防ぐ体制を強化しましょう。
わたしが経験した「ヒヤッとした」場面を
いくつか紹介します。
紹介する学年は、
1歳児クラス、2歳児クラスです。
〈1歳児クラスの「ヒヤッと」事例〉
・水面に顔をつける
・水を飲もうと、鼻~口を水面につける
・楽しくて、後ろに倒れようとする
・ワニさん歩き
(口が水中に入りそうだった)
・物凄い勢いで飛び跳ねる(楽しすぎて)
・滑って転倒しそうになった
・頭から水を被り、溺れそうになる
〈2歳児クラスの「ヒヤッと」事例〉
・潜水しようとする
・落ち着きがなく、テンションが物凄く高い
(水しぶき、水揺れが凄いくらい)
・友だちを押しのけるようにして動く
(前が全く見えていない)
・「歩いている」つもりが「走っている」
(楽しすぎて、気持ちが焦ってます)
・保育士の指示が通らない、すぐ忘れてしまう
正直、本当に怖かったです。
1歳児でも2歳児でも、
保育士の言っていることは分かっているんです。
でも、自分をコントロールすることが
まだ上手くできないんです。
楽しすぎて、やりたくて、その気持ちが
どうしても先行してしまうんです。
こういった姿は、
4歳児でも見かけたことがあります。
5歳児でも!!!
実は出来ないけど、強がったり、憧れたりして
やりたくなってしまうんです。
「楽しい」「やりたい」そういった
子どもたちの気持ちに寄り添ってあげたい!
だから、
「事故を未然に防ぐ体制」が必要なんです。
園長先生、主任先生へ
プールや水遊びにどこまで関与していますか?
保育士だけに任せっきりになっていませんか?
「先生たちがしっかりしているから大丈夫」
そう思っていませんか?
「自分には関係ない!」そう思っていませんか?
子どもたちに、安心安全の中で、
楽しく、充実したプール活動を提供する為には、
園長先生と主任の先生が率先して
監視体制に加わることに大きな意義があります。
それはなぜだと思いますか?
3点にまとめたので確認してみて下さい。
1、現場の状況把握と迅速な判断
現場の状況を、間接的にではなく、
自分の目できちんと見て欲しいです。
子どもたちの様子や先生のいる位置、
死角になっている場所など 直接把握できます。
これにより、より実践的で効果的な
安全対策を検討できるようになります。
迅速かつ的確な
判断と指示を出すことが可能になり、
被害を最小限に抑えることにも繋がります。
〇安全管理に対する強いリーダーシップ
園長、主任が現場で監視に加わることで、
保育士にとっては、
安全への意識が一層高めることに繋がります。
「園長先生が見てる!」という状況が、
保育士一人ひとりの緊張感を高めていきます。
わたしの場合は、
園長先生、主任先生が
入ってくれるだけでとても安心できました。
なぜなら、
より質の高い監視体制になるからです。
いない日は、監視体制が薄くかんじ、
非常に不安になります。
そのくらい心強い存在でした。
〇連携とサポートの強化
担任保育士たちを直接サポートし、
スムーズな連携を図ることができます。
わたしの時もそうでした。
園長先生、主任先生に
たくさんサポートしていただきました。
先ほども述べたように、
わたしよりも視野が広く、判断が早いので、
担任が見切れない所にいてくれたり、
使わないものを片づけてくれていたり、
時間をみて、
次の動線に移れるようにしてくれていたり、
次のクラスを呼んでくれたり などなど、
気づいたら、やってくれている状態でした。
そういった細かなサポートがあるから、
わたしたち担任は、子どものことだけに
集中できるんです。
〇監視人数を1人でも多く
監視人数は、多ければ多いほどに
こしたことはありません。
しかし現実問題、
理想的な監視人数を確保するのは難しい
ですよね。
だからこそ、園長先生、主任先生も
監視人数の数に加わって欲しいんです。
「最低人数いるから大丈夫」ではありません。
1人でも2人でも、
目が多くあった方がいいんです。
組織全体で子どもたちの安全を守るという考え方が
非常に大切なんです。
わたしがここまでに紹介した園長、主任は、
(看護師も含めて)
1クラス目のプールが9時半~始まり、
最後のクラスが11時半に終わります。
炎天下の中、担任のわたしたちよりも長時間、
外に出っぱなしです。
自分の仕事は後回しです。
(緊急案件、来客は優先事項です)
わたしも主任をしていたので、
この時期の大変さは身に染みて感じています。
でも、管理者の役割は、
園全体の安全管理の最高責任者 ですよね。
万が一、事故が起こってしまった場合、
どんな理由があったとしても、
それは全て言い訳になってしまいます。
自分自身を守るためにも、監視に加わるべきです。
最悪の事態にならないよう、
保育士たちのことも守ってあげて下さい。
まとめ
子どもたちの安全を守ることは、
わたしたち保育士の最も重要な使命です。
夏の楽しい水遊びが、
悲しい思い出にならないよう
「職員全員で子どもの命を守る」という
意識を徹底してください。
園長先生が中心となって、
「子どもの命を守る」意識を浸透させて
いきましょう。
全ての職員が、それぞれの立場で
最大限の責任と意識を持って
プール活動に取り組んでいただきたいです。
とても長い記事に、最後までお付き合い
いただきまして、ありがとうございました。
みみ🌻
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