前回、『発達障がい』について
ご紹介しました。
今回は、その記事にも出てきた
『ASD』についてご紹介していきます。
診断を受けている子、
そうかもしれないと思う子も
いると思います。
『ASD』への理解を深め、
その子への対応方法を見出したり、
保育への自信に繋げてもらえたり
先生自身の為のものにして下さい。
ASDとは?
『ASD』とは、『自閉症スペクトラム』の
英語表記である
「Autism Spectrum Disorder」の
頭文字をとったものです。
生まれつき脳の機能に偏りがあり、
生活の中でさまざまな困難が生じてしまう
発達障がいの1つです。
ASDはかつては、
「自閉症」「高機能自閉症」
「アスペルガー症候群」と
呼ばれていた子どもたちも含まれます。
幅広い障がいの状態を
包括しているため
一人ひとりの子どもが
抱える困難がさまざまなので、
対応に悩む先生も
少なくないと思います。
しかし、困難さや苦手さなど、
マイナスな面ばかり見えてしまいますが、
その一方で、
ずば抜けた能力を
持っている子もいます。
わたしの出会った子は
絵や製作がずば抜けていました!!
その子の苦手なこと、得意なこと
その両方を理解して、
丸ごとその子らしさとして
受け止めてあげてほしいと思います。

特性とは?
基本的な特性についてお話します。
〇コミュニケーションの困難さ
・視線が合いにくい
・呼んでも振り向かない
・表情が乏しい
・話し言葉が出ない
・オウム返しが多い
・一方的に話す
・独特の言葉遣い
・相手の言葉やニュアンスを
理解するのが苦手
・冗談、たとえ話が通じにくい
・相手に合わせた話し方が苦手
・アイコンタクト、身振り手振りが
通じない
・その場の空気、相手の表情を読むのが苦手
〇興味の偏り、こだわり
・ひたすら同じ行動をする
・特定の者への
・特定のフレーズを繰り返ししゃべる
・流れる水への興味(こだわり)
・勝ち負けやルールへのこだわり
・予定の変更に抵抗する
・行事に参加できない
・活動の切り替えが苦手
・言葉で伝えずに、親の手をつかんで示す
〇感覚過敏
・偏食
(こだわりの場合もあります)
・光や音、触覚への過敏さ
・廊下や通路の
同じところを行ったり来たりする
・くるくる回ったり、飛び跳ねたり
・体を揺らす、手をひらひらさせる
・体幹の軸が不安定
(体がくにゃくにゃ、つま先立ち、
まっすぐ走れない、転びやすい)
感情をコントロールすることが苦手なので、
予期せぬ状況、強いこだわり、
ルーティンの逸脱、感覚過敏などから
不安で泣いたり、パニックになったり、
その場から逃げ出したり
ということが起こります。
ここでご紹介した特性が、
すべて当てはまるわけではなく、
「あてはまるからASDだ!」と
言い切れるものではありません。
困難を抱える部分が
一人ひとり違うので、
その子のことを
きちんを把握した上で
対応を検討するようにしましょう。

かかわりのポイント
1、指示は簡潔に
一度に多くの指示、抽象的な表現、
長く複雑な指示は避けるようにしましょう。
短く・はっきり・具体的に
伝えるように心がけることが大切です。
悪い例:
・テーブルに移動して、おもちゃを片づけてね
・ちょっとここに座って待っていてね
・怒ってはいけない
良い例:
・テーブルに行って、おもちゃを片づけてね
・10数えるまでイスに座ってね
・優しく伝えようね
「ちょっと」「ちゃんと」「きちんと」などの
指示が伝わりにくい表現はNGです。
2、視覚的な要素を加える
例えば、
・指示する際に絵や写真を用いる
・整列する際に足跡マークをつける
・ロッカーなどに目印のシールを貼る
絵や写真を取り入れる際に
気をつけることは、
・不要な背景や飾りは入れない
・褒めるカードを多く用いる
・必ず言葉をかけながら使用する
子どもも先生も
コミュニケーションが取りやすくなり、
子どもの「できる」を増やす為にも、
絵や写真を適切に使っていきましょう。
3、見通しが持てるような工夫
なるべく、
同じパターンやスケジュールを維持することで、
子どもは安心して行動できます。
また、絵や写真などを使って、
1日の活動の流れを視覚的に提示しましょう。
ホワイトボードを用いると、
活動が終わったら取り外しができるので、
分かりやすくなります。
避難訓練や誕生会など行事の際も
先の見通しを立てることが大切です。
余談ですが、
年長や年中児の運動会や発表会では、
その子の立ち場所に、
その子が分かるマークがついていました。
最初は、理解ができずに、
嫌がったり、落ち着かなかったり
他事をすることがありましたが、
練習を重ねるうちに、
自分の立ち場所が分かるようになり、
その子なりに参加する姿がありました。
ご参考までに!!
4、苦手な刺激へのサポート
苦手なものは我慢させるのではなく、
できるだけ取り除いてあげることが大切です。
イヤーマフを活用したり、
一時的に他の部屋に移動したり、
代用になるものがあれば、それを使用したり
(例:フエキのり→スティックのり)
しかし、現実問題、
難しいことの方が多いかと思います。
スモールステップで、
徐々に慣れていけるように
援助をしていきましょう。
5、変化を少なく
例えば、進級に伴った
クラス替えやロッカーの位置など
可能な限り変化が少なくなるような
工夫が必要です。
目印のマークを同じにしたり、
ロッカーの場所を同じ場所にしたり など、
変化がある場合は、その変化を
予め伝えておくようにしましょう。
6、できたことを褒める
子どもの支援のおいて大切なのは、
成功経験を積み重ねてあげることです。
そのためには、
できたことや頑張ったことを
しっかり褒めてあげて下さい。
うれしい、出来たなどの
プラスの気持ちが自信をつけ、
意欲を高めることに繋がります。
そして、
次のステップへ進む原動力になります。

もしパニックを起こしたら
まずは、
周囲に危険がないか確認しましょう。
静かで、安全な場所に移動させたり、
おもちゃを投げないように、
回収したりしましょう。
次に、その子が落ち着くまで
言葉をかけたり、行動を促したりせず、
静かに見守りましょう。
力ずくで抑制しようとしたり、
否定をしたりするのはNGです。
落ち着いてきたら、
幼児なら、なぜパニックになったのかを
そっと尋ねてみることで、
再発を防ぐことに繋がります。
乳児なら、「嫌だったね」と
「嫌だ」という気持ちに寄り添うと
切り替えがしやすくなります。
また、その子の不快な刺激が分かったり、
対応方法が見つかったりできたら、
事前に回避できるようにして
あげたいですね。
そうすることで、先生の負担も
軽減できると思います。

保護者にも対応を共有しよう
園側と家庭で、対応が違うと
その子の成長に繋がらないですよね。
園と家庭での情報共有が
とても大事になります。
園と家庭での情報共有を密にし、
同じような対応ができるといいですね。
その為には、
保育士側が率先して
伝えたり、聞き出したりして
共有していくことが大事です。
家庭での悩みにも
一緒に向き合えるといいですよね。
とはいえ、
担任の先生一人で抱えるのでなく、
園長や主任、先輩保育士とも
協力し合いながら
対応していけることが
望ましいと考えます。
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