一斉保育が主流だった時代から、子ども一人ひとりの姿に目を向ける保育へーー。この30年で、保育の在り方が大きく変わってきました。
いまの保育現場で最も問われているが、「子どもの主体性を大切にする保育」です。
しかし、「子どもの主体性」とは、具体的にどういうことなのでしょうか❓

「おもちゃ片づけたくない」って言うから、そのまま給食にする?

子どものやりたいことだから、机に登るのもOK?
「それって主体性じゃなくて、ただの放任では…?」と、頭を悩ませている保育士さんも多いのではないでしょうか。
さらにこの30年で、保護者との関係性も大きく変わりました。
かつての ❝共に子どもを育てる仲間❞ から、❝サービスを提供する側❞のような関係へ。
「虫に刺されないでください」
「うちの子のトイトレ、いつからですか?」
こうした要望に細かく答え、運営や保護者が求める「安心安全」が最優先となり、本当に必要な「子どもに寄り添う保育」を実現することが難しくもなっている現実もありますよね。
そんな中、わたしは先週『はままつ保育セミナー2026』に参加し、りんごの木の代表・柴田愛子先生による「あそべる自由人・子どもから学ぶ」という講義を聴いてきました。
※りんごの木 – 幼児とともに –

柴田先生が語るエピソードはどれも衝撃的で、でも「本当にそうだよな」と深く共感させられるものばかり!
そこでこの記事では、
柴田先生のエピソードをもとに、講義で学んだ「主体性を育むために大切なこと」についてお伝えします。
「保育とは何か」「子どもの主体性とは何か」を問い直すヒントとして、少しでも役立ててもらえたら嬉しいです。
「子どもの主体性」と知るヒント満載!講義から学ぶ5つのエピソード

ここからは、セミナーの中で紹介された柴田愛子先生の貴重なエピソードを5つお届けします。
「こんなこともいいの⁉」という保育現場の当たり前を覆すお話ばかりで、ガチガチになっていた頭がふっと軽くなるはず!
目の前の「子どもの主体性」を受け入れるヒントを、ぜひ皆さんの園の保育と照らし合わせながら読んでみてくださいね。
【エピソード①】落ちたおにぎりに蟻が集まってきて…
遠足でみんなでお弁当を食べてたときのこと。
ある子が食べていたおにぎりが、地面にポロっと落ちてしまいました。するとそこへ、どこからか蟻が集まってきたのです。それを見た子どもたちは大興奮✨
なんと、持っていた「ドーナツ」と「鮭」も落とし、蟻の動きを観察し始めたそうです。
蟻はどの食べ物に一番集まってきたのか…。その結果に、子どもたちの驚きと興味関心が満ち溢れていたといいます。
【エピソードを聞いて感じたこと】
目をキラキラさせながら蟻の動きを観察する子どもたちの姿が、すぐに目に浮かんできました。
それと同時に、「もし自分だったら…」と考えると、「食べ物を粗末にしちゃダメでしょ!」と次を落とす前に制止していたと思います💦
柴田先生が別の園を訪れたときに、散歩道で見つけた名前のわからない草花を、担任の先生がスマホのAI機能で調べていたそうなんです。
蟻の集まり方もそうだし、名前のわからない草花もそう☝️
子どもたちが「不思議だな」「知りたいな」と思ったとき、大人がすぐに答えを教えるのではなく、子どもと一緒に調べ、「これじゃない⁉」と発見を共有していくこと。
それこそが「子どもの主体性」を育む上で、何より大切なことではないでしょうか。
【エピソード②】雨の日は外で遊んではいけないの?
柴田先生が幼稚園教諭をしていた頃、雨が降る園庭で子どもたちと遊んでいました。
それを見た主任先生が「雨が降っているんだから、外で遊んではダメでしょ」と声をかけられたそう。先生は、「なぜ雨だと外で遊んではいけないんですか?」とすかさず問い返しました。
「風邪をひくでしょ!」という答えに対し、さらに「雨にぬれたら風邪をひくんですか?」と🫢
そこで先生は、「雨にぬれたら本当に風邪をひくのか」を調べてみたそうなんです。
わたしも改めて調べてみました。
【雨と風邪の因果関係】
風邪の原因は、鼻やのどの粘膜にウイルスが感染すること。雨で濡れた衣服を長時間放置することで体温が下がり、免疫が低下してウイルスに感染しやすくなる。
つまり、「雨に濡れる=風邪をひく」ではなく、「濡れた服を着たまま放置する=免疫が落ちてウイルスに負ける」ということだったのです。
参考:雨に濡れて風邪を引く理由は?西洋医学と東洋医学で原因を解説 | 南森町 鍼灸院|不妊・胃腸・自律神経の専門|伝統鍼灸 一滴庵
参考:『雨に濡れる』と『風邪』は別もん | 大阪府河内長野市の鍼灸院・整骨院・整体院「河内長野こにし鍼灸整体院」
参考:かぜを知る|【かぜ対策】コルゲンコーワ
【エピソードを聴いて感じたこと】
主任先生に「なぜ?」とストレートに問いかけられる柴田先生、凄すぎませんか⁈ 私にはそんな勇気ない…💦
でも確かに、私も雨でびしょ濡れになっても風邪をひいたことがない。遊び終わったら、しっかり体を拭いて着替えをし、室温を適切に調整してあげれば問題ないですよね。
むしろ、雨続きで外に出られず、換気が満足にできない保育室、室内遊びばかりでストレスを貯め込んでいる方が、よっぽど体調を崩しやすいのではないかと感じてしまいました。
【エピソード③】子どもたちが蛇口で水遊びしていたら…
真夏に、子どもたちが水道の蛇口から出る水で、夢中になって遊んでいました。そこへ通りかかった保護者が止めに入ります。
柴田先生が「なんで蛇口の水で遊んじゃいけないの?」と問いかけると、保護者は「他のお友だちの迷惑になるから」と言いました☝️
子どもたちはみんな楽しそうに混ざっていたので、先生が「誰も迷惑そうにしていないですよ。」と伝えると、
保護者はこう本音を漏らしたそうです。「他の保護者に迷惑がかかりますよね。皆さん着替え持ってきていないし」
すると柴田先生は一言、「こんなに暑いんだから、すぐに乾きますよ!」と返したそうです。
【エピソードを聴いて感じたこと】
保護者の方にユーモアを交えつつ、ハッキリと正論を伝えられる凄さが素敵すぎる!と感じました。
わたしが過去に、真夏のテーマパークで水流ジェットコースターに乗って全身びしょ濡れになったことがあります。
しかし、カンカン照りの外を歩いていたら数時間で乾きました。むしろ涼しくて気持ちよかったくらい😄
蛇口の水で少し濡れたぐらい、真夏なら帰宅するまでに乾いてしまいますし、外も暑いから体が冷える心配もありませんよね。
【エピソード④】ハサミで自分の髪の毛を切っちゃった!
ある男の子が、遊び中にハサミで自分の髪をチョキチョキ切っていたそう。しかも、その子は切った自分の髪の毛を「○○円です」と友だちに売って、ごっこ遊びを始めたんです😣
このエピソードを保護者に伝えたところ、叱るどころか「あらま!」と驚いて笑っていたといいます。
また別の日には、粘土をハサミで切っていた子が、「水を切ったらどうなるんだろう?」と疑問を持ち、
ホースから出てくる水やバケツの水など、あらゆる「水」をハサミで切って遊んだというエピソードも教えてくれました。
【柴田先生の言葉】
今の保育(小学校でも)は、先生に声をかけないとハサミを使えないルールになっていることが多いよね。なぜ許可制にするのか…。
危ないから…、怪我をさせてはいけないから…。
じゃあ、なぜ怪我をさせてはいけないのかというと、保護者が嫌がるからなんだよね。
でも、ハサミって真上から踏んづけただけで大怪我するようなものじゃないし、子どもたちだってちゃんと気をつけながらつかっているんだよね。
【エピソードを聴いて感じたこと】
「確かに!」と思いました。
わたし自身、現場でハサミを出す時は、自分の目が確実に届く環境を作ってからにしていました。
理由は先生が言った通り、「怪我をさせて保護者に怒られたら困るから」「運営側から注意されたくないから」でした。
何か一つトラブルが起こると、すぐに「その保育は禁止」というルールに変わってしまう。
そうして大人の都合でルールを固めるたびに、子どもの「やってみたい!」という主体性と経験のチャンスを奪っていく…😔
いまの保育って、難しいなと感じました。
【エピソード⑤】運動会のしっぽ取りをすることになって…
柴田先生の園では、運動会の種目内容を、子どもたちと一緒に話し合って決めるそうです。
ある年、運動会の種目を「しっぽ取り」にしようという話になりました。
しかし、他の幼稚園から転園してきたばかりの子が、しっぽ取りで遊ぶたびに、隅っこでポツンと座っていたというんです😥
なぜ座っていたのか…。
その子は以前、英語教育を徹底した幼稚園に通っており、友だちと一緒に遊ぶ経験、「追いかけっこ」をした経験がなく、人に追いかけられるのが怖かったのです。
その理由を知った子どもたちは、こう提案しました。
「じゃあ、○○くんはしっぽをつけないで、ずっとみんなを追いかけたら(オニ役)いいんじゃない?」
それを聞いたその子も「それだったらできそう!」と、運動会のしっぽ取りに参加することができたそうです。
【エピソードを聴いて感じたこと】
りんごの木の運動会では、リレーが苦手な子は好きな先生におんぶしてもらって走ったり、歩行が難しい子の車いすを友だちが押して参加したりしたことがあるそうなんです。
これらすべてが、子どもたちから出てきたアイデア。
私たちはつい、「しっぽ取りのルールはこうだから」「毎年こうしているから」と枠にはめてしまいがちです。
でも、運動会も日々の遊びも、主役は保護者でも保育士でもなく「子どもたち」なんですよね。
大人から見たら「えっ、そのルールあり?」と思うようなアイデアでも、子どもたち自身が納得し、全員が楽しめるものであれば、それで大正解なんだと改めて感じさせられました。
エピソードから紐解く:子どもの主体性を育むために大切なこと

柴田愛子先生のエピソードを聴いて、日々の保育の中で「子どもの主体性」を大切にするために、わたしたち保育士が意識したいポイントが見えてきました。
ここからは、その大切なポイントを1点ずつお話していきます。
現状としては難しい部分もあるかと思いますが、明日の保育につながるヒントとして少しでも役立てられたら幸いです。
「なぜダメなんだろう?」と問い直してみる
講義を通して柴田先生が何度も口にしていたのが「なぜダメなの?」という問いかけでした。
「だって、風邪ひいちゃうから」「怪我するといけないから」ーー聞こえはいいけれど、その裏には「クレームが来ないようにしなきゃ」という本音が隠れているのではないでしょうか☝️
保育で迷ったとき、立ち止まって「なぜそれがダメなのか?」と客観的に問い直してみることも大切。
具体的な根拠があればその通り。でも「ただの大人都合」であれば、考え直す余地があるかもしれません。
「なぜ?」を繰り返しながら、子どもが主体となる保育を一緒に探していけたらいいですよね。
「まあいいか」という心の余白を持ってみる
講義の中でもう一つ、心に残ったのが、「安全安心は、ワクワクにはつながらない」という言葉です。
子どもたちの遊びの本質は、「ドキドキ(興味・魅力)」「ハラハラ(やってみようという冒険心)」「ワクワク(楽しい!)」という感情がセットになっています☝️
「危ないからダメ」「そういうルールだから」という制限を少し緩め、「これくらいなら、まあいいか」という心の余白を持つことも大切。
完璧な安全管理よりも、子どもが自分で考え、やってみて、感じる機会を守ることが、主体性を育む保育につながっていくのではないでしょうか。
子どもの「楽しかった!」で、保護者を変えていく
今の保育現場では、「保護者支援」「親子の関係の構築」も大切な仕事となっています。
柴田先生の園でのエピソードです。
子どもたちが「みんなで花火をしたい!」と提案し、1週間後に急遽花火大会を開催。
ある保護者だけが「そんな急には困る!」と参加を渋りましたが、他の保護者に預かってもらうことで、その子も参加できることに。保護者は最初、終始不機嫌だったそうです。
しかし、花火大会が楽しく、兄の甚平を着られたことが嬉しかったようで、
後日、その保護者から「すごく楽しかったと話してくれました。ありがとうございました」と伝えにきてくれたそうなんです。
保護者の目から見たら「危ない」「迷惑」「可哀そう」に見えることでも、子どもの「心から楽しかった!」という体験が、保護者の価値観を変えていく。
これが、「保護者を育てる」ということなのだと気づかされました。子どもの主体性を育む保育は、親子関係を豊かにするうえでも、とても重要な役割をもっているんですね。
まとめ|子どもたちを信じて、一緒に保育を作っていこう!

いかがでしたか?
柴田先生の保育エピソードを聴いていると、正直なところ「本当にそれは止めなくていいの?」「やってしまって大丈夫?」と感じる内容もありました。
保護者の視線はもちろんですが、それ以前に「大怪我させてしまうかもしれない」「熱を出してしまわないか」と、一人の大人として心配になってしまうから😥
でも、大切なことはそこではないんですよね。
子どもは子どもなりに考えながら生活しているし、どんな子でも友だちを思いやることもできる。時には、わたしたち保育士以上に、友だちのことをよく観ているんですよね!
最後に、講義の中で語られた、とても印象的な言葉を皆さんにもお届けします。
保育園や幼稚園の時期に大切なのは、人を信用できるようになること。そして、人と群れることで「暮らしやすさ」を学ぶこと。
だからこそ、保育士が子どもたちを信じ、一人ひとりの姿に寄り添いながら、一緒に毎日の保育を作っていくこと。
それこそが、今求めている「子どもの主体性を育む保育」の本質ではないでしょうか。
目の前の愛おしい「小さな自由人」たちと一緒に、新しいワクワクを見つけていけたら嬉しいです✨




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